天の川銀河で生命が存在する惑星は地球だけ(ダークマター理論の戸谷教授)

 

東京大学大学院の戸谷友則教授がダークマター(暗黒物質)の正体を捉えたとするテレビの番組が相次いで放映された。

2026年3月18日(水) NHKBS

フロンティア 最新報告 ダークマターの正体

2026年4月1日(水) BSテレ東 (MC 加藤浩次)

いまからサーエンス~ノーベル賞級の発見か!?宇宙最大の謎・暗黒物質に迫る!

(画像は同番組から引用させていただいた)

いずれも100年近く不明であったダークマター(暗黒物質)の正体が素粒子のひとつである WIMP(Weekly Interacting Massive Particle 弱く相互作用する大質量粒子)であることが判明した可能性が高いとする内容である。

理由として稀に起きるWIMPの対消滅によるガンマ線の形が球対称をなしている。これは予想されていたダークマターの形であるということ。そのガンマ線のエネルギー分布状況が理論から予想されたものと一致していることである。

以下はBSテレ東の番組での戸谷教授の話とそれを聞いた感想である。

「ダークマターの正体がこれで確定ならば超ノーベル賞級の発見であり、今後の科学の発展に寄与する大発見である」とのこと。

更に、私は同番組の後半の戸谷教授の宇宙生命の話に大変興味を持った。「生命は宇宙では極めて稀である」という話である。 最近は、生命発生はわりとありふれた現象で、地球外生命体も容易に見つかるであろうとの話が多いがそれを全く否定する内容である。

「1個の銀河に平均1000億個の恒星があるとして生命が発生する確率が1恒星当たり1000億分の1より小さければ1銀河では生命発生に十分ではない。天の川銀河には地球のような惑星が100億個ぐらいあるが生命が存在する惑星は確率上地球のみ。そして現在、見える範囲の銀河は138億光年内に1000億銀河で恒星の数は合計で10の22乗個、更に見えない範囲の銀河も含めると恒星の数は10の100乗個と推定される。そのくらいの数になれば生命の発生する惑星が他にいてもおかしくはない」とのこと。

ビッグバン後の宇宙インフレーションで宇宙は地球から観測される範囲の10の78乗倍も巨大であるということになる。このような数字は今まで聞いたことがなく驚きである。地球から観測される範囲というのは宇宙のほんの片隅ということだからである。

生命現象はわりとありふれた現象だというのは、一般的な生物が死滅するような環境で、代謝・増殖できる微生物(限界生物 正確には極限環境微生物というらしい)が地球上のあちこちで発見されているのが大きな理由と思われる。しかし、生命がアミノ酸などの部品から自動的に生成されるのはエントロピー増大の法則(部品がいくらあっても自動的に組み立てられることはない)に厳然として反する現象である。

だが、部品が自動的に組み立てられることは殆どゼロに近いような極めて稀な確率では起こりうる。生命発生はいってみれば宝くじの一等に何十回も連続して当たるような極めて稀な現象である。一旦、生命が出来てしまえば極限環境にも増殖可能であろう。では、エントロピー増大の法則がなければどうなるかというと生命自体が全く発生しない。つまり宝くじ自体がないのと同じなので当たりようがない。

極めて小さい確率として、ランダムに選んだ100人の赤ちゃんの性別が全員女児(男児でも同じ)になる確率を考えてみる。すると2の100乗分の1となる。これは、10の30乗分の1に大体等しい。生命の発生する恒星系の確率もそんなものではないだろうか。

 

 

 

大きな誤りのあるNHK BS の番組 「フロンティア 日本人とは何者なのか」

 

縄文時代の位置

神澤秀明氏 提示資料 縄文人と現代日本人や周辺地域との遺伝的関係

1.NHK BS(101チャンネル)で2023年12月6日(水)の21時に放映された

フロンティア「日本人とは何者なのか」に日本人の起源に関する大きな誤りがあるので指摘したい。以下に、主な誤りとその背景について述べたい。

当番組は、国立科学博物館の館長である篠田謙一氏が全体のまとめ役のようである。3つのチャプターからなり

 ① “最初の日本人”の正体

  縄文人や現代日本人の遺伝的位置づけ(国立科学博物館 神澤秀明氏)や東南アジアのホアビニアン文化と縄文人の先祖の関係について説明している

 ② 今も残る“縄文DNA”の謎

  縄文人と縄文文化について説明している

 ③ 激動の時代“新たなDNA”の謎

  弥生時代から古墳時代の日本人のDNAの変化を説明し、日本人の成立について新たな発見として今までの縄文・弥生の「2重構造説」に変わる「3重構造説」が提唱されている

画像については同番組から引用させていただいた。

 

1.縄文人の説明で「細石刃文化」を伝えた人の説明が全くない

3万年前以前に縄文人の祖先は東南アジアから来た。その数は1,000人くらいと説明されている。縄文時代の前は旧石器時代である。旧石器人は概ね東南アジアから来たと推測されているのでこの点は大筋正しいと思われる。しかし、約1万6千年前に始まったとされる縄文時代については草創期に北ユーラシアから「細石刃文化」が日本に入ってきて大きな影響を与えたと考えられている(「日本人はどこから来たか 東アジアの旧石器文化」(1988 加藤晋平 岩波新書)など)。但し、人数的にどのくらい来たか不明で遺伝的には旧石器人に埋没してしまった可能性があるが「細石刃文化」については番組では全く触れていない。

 

2.弥生人について稲作や金属器を日本にもたらしたと説明しているが彼らがどこから来たかの説明がおかしい上に、「3重構造説」というおかしな仮説を提唱している

覚張隆史氏 提示資料1 各時代における日本人のDNAの割合 

覚張隆史氏 提示資料2 弥生時代・古墳時代に日本に渡来した人のルーツ

金沢大学の考古分子生物学助教 覚張隆史氏が縄文人骨9体、弥生人骨2体、古墳時代人骨3体のDNAを分析しその内容を表示したのが提示資料1の画像である。 そして現代日本人のDNAは縄文人・弥生人のDNAだけでは4割くらいしか説明できず、古墳時代に大量に大陸から日本に人が渡来したとする「3重構造説」を主張している。そして提示資料2によると渡来弥生人のルーツは大陸の北東アジアから、渡来古墳人のルーツは大陸南部を含む東アジアなどからとしている。この「3重構造説」には篠田謙一氏も賛成しているようである。(注1)

 (弥生人という言葉には広い意味と狭い意味がある。広い意味の弥生人は弥生時代に日本列島で生きていた人々を指す。狭い意味の弥生人は稲作をもたらした人および彼らの子孫である。実際には縄文人と程度の差はあれ混血をしていたので比較的遺伝的に渡来人に近い人々である。当番組では弥生人という言葉を広い意味で使用している)

 

しかし、これは全くおかしい。提示資料2の画像を見ると弥生人は稲作をもたらしたのに稲作地帯ではない北東アジアから来たことになっている。一方、古墳時代には大陸南部からも大量の人が来たことになっている。古墳時代には朝鮮半島との交流は活発だったが大陸南部から人々が大量に来たとは全く考えられない。

古墳時代に大陸の各地から日本に大量の人々が渡来したとするのは誤りである理由を更に述べる。

・前掲の神澤秀明氏の提示資料と矛盾する。現代日本人は中国、東南アジアとは遺伝的にかなり離れている。

・弥生時代の終わりには日本の人口はかなり増えていたはずであり、古墳時代に日本人の遺伝情報が6割も変化するならば極めて大量の人が渡来しなければならない。

・海を越えて渡来する人は男性の割合が高いと推測されるが、篠田謙一氏の著書「新版    日本人になった祖先たち」(2019 NHKブックス)によると男性のみが持つ遺伝子であるY染色体には大陸の影響は小さいと記述されている(もし、篠田氏が「3重構造説」に賛成しているならば自身の過去の著作との矛盾をどうするのであろうか)

そして仮に古墳時代に主として大陸から大量の人が渡来したならば

 ・文字を書ける人もいたはずであるがそのような渡来記録は残っていない

 ・文字を書けなくても伝承として彼らの渡来が種々語られているはずであるがそのような伝承も存在しない

 

なぜ、このような大きな誤りが日本人のルーツの常識が覆ると言ったタイトルをつけて説明されるのだろうか。

それは、DNAを調べたとする弥生人に問題があると思われる。2体と極めて少ない上に彼らが縄文系弥生人だった可能性が高い。つまり弥生人の分析と言いながら半分縄文人のDNAを調べていたと考えられる。弥生人骨のDNAと言っても縄文系弥生人の人骨を調べることになってしまったのであろう。更に、稲作地帯とされる中国の長江流域の古代人骨のゲノムが現時点で中国側から発表されていない。十分なデータがない状態で確定的なことを言うのは誤りである。

 

古墳時代には弥生系弥生人すなわち稲作を持ち込んだ人の子孫が多数派だったと思われる。すなわち古墳時代の人骨は弥生系弥生人のDNAを持っていたことになる。従って彼らが現在の大陸南部の人(稲作民)のDNAと共通性があるのは当然である。提示資料2によると現在の東南アジアの人との共通性も示されているが稲作文化の発祥地は中国の湖南省の辺りと考えられており古代に稲作民が東南アジアに南下した反映であろう。

 

繰り返すが、なぜこのような大きな誤りが発表されるのであろうか。それは一部のDNA研究者が歴史や文化を十分に知らず彼らだけで歴史を独自解釈しようとしていることが原因である。もっと一般の歴史学者、考古学者、言語学者の意見を参考にすべきである。またこのような人たちの意見も聞かず一方的に一部のDNA研究者の考えを、さも新発見のように放映するNHKにも大きな責任があると考える。

 

(注1)その後、12月13日22時放映のBSテレ東(171チャンネル)の「いまからサイエンス」(人類の起源&日本人のルーツ新説!DNA研究が劇的進化)(MC加藤浩次)の番組に篠田謙一氏が出演したが「3重構造説」に関連するような言及はなかった